コラム
2019/04/23
リビングをシェアする暮らしスタイル
コラム
子供の頃、自分の部屋を持てたことが嬉しかったと記憶しています。
子供部屋のことを勉強部屋と言っていたように、勉強は自分の部屋に閉じこもってやっていました。読書も音楽を聴くのも自分の部屋でした。
リビングはもっぱらテレビを見ながら家族で食事をする場所と位置付けられていたように思います。
食事の後リビングでぐだぐだしていたら、母親から早く部屋に戻って勉強しなさい、とよく叱られたものです。
当時は、リビングで長居することがあまり褒められたことではなかったようです。
ところが昨今ではリビングでの過ごし方が変わってきているようです。
それを象徴しているのが、昨年リクルート住まいカンパニーが「トレンド予測」で発表した「リビ充」なるワードです。
「リビ充家族」というスタイルがトレンドなのだそうです。
「リビ充」を一言で言うと、「リビングを広く設けて、1つの空間を共有しつつ家族それぞれが思い思いに充実した時間を過ごす」ことです。
そのような生活スタイルの家族が増えているとのこと。
今リビングに求められていることは、家族でテレビを見ながら談笑したり一緒に食事をしたりする「くつろぎの場」だけでなく、
勉強や遊び、趣味、仕事など、それぞれが自由に過ごすことのできる「多機能空間」です。
そう思って我が家を振り返って見ると、確かにみんながリビングで思い思いに過ごしていることに気づきました。
背景としては、共働きの家庭が増えて、家族が一緒に過ごせる時間が少なくなり、つながりが希薄になっていることがあるように言われています。
リビングを広めにとることで、長女はテーブルで宿題、長男はテレビの前でゲーム、
妻はタブレットで情報集め、夫はソファーで趣味の雑誌を読んでいるといった、それぞれが別々のことをしながらも、
それぞれの気配を感じながら過ごすことができます。
希薄になりがちな家族のつながりですが、リビングをシェアすることで安心感や一体感が感じられる緩やかなつながりが生まれ、
互いを近くに感じていることで自然にコミュニケーションが始まる。
そのような新しい家族の絆づくりが始まっているのかもしれません。
スマホやゲームなど「個」で利用し楽しむツールが普及した昨今、
「個」が「個」のままに「家族」とのつながりを求める、そのような時代の流れに沿った暮らし方スタイルなのだと言えますね。